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箏曲家 鈴木創 公式ブログ「ことはじめ」

群馬県前橋市を拠点に活動する箏曲家鈴木創の公式ブログ「ことはじめ」です。

2018年02月

28 2月

お弟子さんの成長と、お箏の再利用

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

今日はお稽古や、新たにお稽古を始めたい方の対応でした。

小学生のお弟子さんなのですが、ちょっと体が小さめ。
お稽古を初めて、最初は「宮城道雄小曲集」をやってみたのですが、ちょっと指の力などが弱いと感じました。
ですので、しばらくの間は誰でも知っているメロディーで、かつ押し手の少ない曲を弾いてもらい、お箏を弾くことや、たまに出てくる押し手に慣れてもらい、同時に指のトレーニングもしてもらっていました。
その成果が出てきて、押し手なども段々とできるようになってきたので、中断していた「宮城道雄小曲集」に復活です。

今日のお稽古では、手の形や指の形、親指と他の指(「むこう指」と呼んでいます)の間隔、上半身の使い方、力の具合など、突っ込んだ内容のお話しができました。
見ていると、小さな手でなんとかやってみようと頑張ってくれています。
成長を感じることができ、お稽古のし甲斐があります。

あとお一方は、ご家族がお持ちの楽器を再利用し、お稽古を始めたいというご希望の方でした。
ご自宅にお伺いし、お持ちの楽器を見させていただき、再利用できるものや新たに買う必要のあるもの、楽器のメンテナンスにかかる費用、など、どのくらいのお金が必要なのかなどをお話しさせていただいました。
そして、お稽古を始めるとお決めいただき、メンテナンスに出すお箏をお預かりしてきました。

お弟子さんの成長を見ることができたり、お家にある楽器を最大限有効活用してお稽古を始めるお手伝いができたりと、この仕事をしている喜びを感じる一日でした。

大変ありがとうございます! 
27 2月

お三味線の素材の危機的状況

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

ここ数日は、お三味線のことについてお話しをさせていただきました。
今日は、お三味線のそれぞれの素材の現状についてお話しをさせていただきます。 

撥や糸巻きの素材である象牙
象牙は、ワシントン条約の対象になっており、新規の輸入等が難しい状況です。
かつ、撥に使う象牙は、一般的に出回っている「ソフト材」ではなく、「ハード材」と呼ばれる数が少ない材料です。
代替えの素材が研究されておりますが、現代の技術をもってしても、なかなか象牙に変わる素材は生まれておりません。

棹の材料である紅木
日本よりも需要が多い中国に多くが行ってしまい、日本に入ってくる紅木を確保することが難しい状況です。

胴の周りに張る皮
皮は主に猫や犬の皮を使っています。日本国内の皮はほとんど使っておりません。以前はタイから輸入しておりましたが、タイの政情が不安定のために、以前ほど安定的に皮が日本に入ってきません。

撥や駒に使う鼈甲
ワシントン条約の対象となってしまい、新たな素材の確保が難しい状況です。

このように、ほとんどの材料が、現在は新たな入手が難しい状況になっております。
材料の入手が難しいから値段が上がる。値段が上がるから買い手が減る。という悪い流れができつつあります。
新たに楽器を手にしてくれる人がいなければ、楽器を作る職人も育ちません。

解決策としては、
1:日本の伝統を守る目的として、一定程度の素材の輸入を可能にすること。
2:現代の技術により、代替え素材の開発が進むこと。ただし、投資に見合う売上がなければ開発が進まないので、ある程度の需要が必要です。
3:需要が増えること。すなわちお三味線の愛好家が増えること。

私が直接できることは、特に「3」です。
日本の音の気持ちよさを伝え、愛好家を増やすこと。

少しでもご興味がある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
楽器は、中古楽器なども予算に応じて準備可能です!

 
26 2月

お三味線の撥について

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

さて、昨日は外出のレポートをさせていただきましたが、またお三味線の話しに戻ります。

今日の最初のお話しは、演奏の時に必須なです。
以前も申し上げたとおり、お三味線の撥は、そのジャンルによって大きさや厚み等の違いからかなりの種類があります。
私共は、数ある撥の中で、津山撥の七寸八分という規格のものを使っております。

名前の「津山撥」というのは、津山検校という方が改良したことに由来する名前で、
七寸八分というサイズは、長さです。略して「七八(しちはち)」と呼んだりすることもあります。

実際に、私の撥のサイズを測ってみると、長さが凡そ24cmで、撥先の開きが約13cm。
長さが、ほぼ七寸八分(23.4cmくらい)ですね。


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こんな感じで握り、下の写真の様に弾きます。
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インカメラの自撮りのため、アップですいません、、、

下の写真をご覧下さい。
右の撥は真っ白ですね。これは、象牙製です。主に舞台の本番などで使います。
左の撥は、白い部分が象牙で、先が鼈甲です。これは普段のお稽古などに使います。
この撥は、断面で象牙を継いで有り、大きな象牙を使っていないため、その分若干安価なものです。
これ以外にも、白い部分がプラスチックで、先が鼈甲の撥もあります。多くの方は、これを使っています。
下に敷いてある白い紙がA4サイズです。大きさの感じの参考までに。

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 使わないときは、撥先に「撥さや」と呼ばれるカバーを付けて、保護します。
下の写真が、撥さやを付けたところです。

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津山撥の形状としての特徴ですが、途中から撥先に向かって急速に薄くなっています。 
下の写真で、段がついているところから先の形状をご覧になって下さい。
長唄の撥などは、段がなく、撥先から一番下の部分までスロープ状になっています。
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なぜこういった形状かというと、しなりやすくするためです。
地歌はお座敷芸ですので、落ち着いたひびきのある音を求めます。
ですので、重い撥をしならせて音を出すことが大切なんですね。

素材も、やはり象牙や鼈甲を使うのは、しなるからなんです。
現代の技術をもってしても、人工で変わる素材はありません。
安いプラスチックの撥がありますが、しならず、音も硬く、お三味線がかわいそうになってしまいます。。。

もし皆さんの身近にお三味線をされている方がいらしたら、
撥などの道具を見させていただくと、私共地歌との比較ができて面白いかもしれません。 

そろそろお三味線のことを多くお話しさせていただきました。
次回は、お三味線や素材の現状についてお話しさせていただく予定です。 
25 2月

鎌倉・横浜訪問。

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

24日、25日と、一泊二日で鎌倉・横浜方面に行ってきました。
私が卒業した大学の卒業生同士の交流を図る目的で、群馬と神奈川の比較的若い同窓生有志で、定期的にお互いを行き来しています。 
前回は神奈川の方を群馬の伊香保温泉にお招きし、今回は鎌倉・横浜にお邪魔してきました。 

ちょっと、写真でご紹介させていただきます。

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鶴岡八幡宮に向かう段葛。ちょっと前に改修されており、両脇の桜の木がまだ若いですね。

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この日は結婚式があり、鶴岡八幡宮の神楽殿には、通常はない移動式の屋根がありました。

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頼朝公。鎌倉を見守っているのでしょうか。

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銭洗弁天。金運アップ!

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佐助稲荷は、出世の神様。

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鎌倉の町並みは、落ち着きがあっていいですね。
群馬よりも和文化関係の仕事が多そうな気が、、、

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頼朝公のお墓に行く途中の道。

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夜は横浜に移動し、中華街へ。
ちょうど春節のお祭りを行っていて、賑やかでした。

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マリンルージュ。サザンに出てきますね。

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とある洋館の中のホール。コンサートとかいいかも。

今回は鎌倉・横浜ともに地元の方に案内していただいたので、
観光ではわからない場所を見ることができたり、お話しを聞けたり、
中華街のお店も地元の方お薦めのお店に行くことができました。

久しぶりに長距離の運転をし、やっぱり自分は運転が好きなんだと感じました。
また、建築をみることが好きな私にとって、
鎌倉や横浜山の手は落ち着いた雰囲気でみたい建物がいっぱいあり、
今度は妻鉄子とゆっくり一緒に来たいなと考えています。 

明日からまたお稽古です。 
23 2月

お三味線シリーズ。駒と上駒とサワリについて。

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

引き続きお三味線のお話しをさせていただきます。 

まずはこの写真をご覧になって下さい。
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この部分は、お三味線の 一番上ですね。

一番上のカーブしている所は「天神」、糸を巻いている白い三本の棒は「糸巻き」
そして、天神の下の四角く穴が開いている部分は「糸倉」と呼びます。 
ちなみにこの糸巻きは象牙製で、他に黒檀でできている黒い糸巻きもあります。

下は、糸倉の下の部分を拡大した写真です。
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金属のプレート状の様なものがあります。
これは、「上駒(かみごま)」といいます。
お三味線の下の方で使う「駒」と合わせて、糸を浮かせ、支えます。

で、注目していただきたいのが、上駒は糸を2本しか支えておらず、左の「一」の糸は上駒の上に乗せません。

そして、実はこの一の糸が通っているところには、少し溝が掘ってあり、二の糸や三の糸に較べて、若干低くなっています。

では、この写真の左から見た状況が次の写真です。

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一番手前が「一」の糸なのですが、奥に見える「二」の糸に較べて棹に近いことがおわかりいただけるでしょうか。
そして、上駒のすぐ下に、若干山折りの様になっているのが見えますでしょうか?

一の糸だけが上駒にのらずに、代わりに溝を通り、そしてその結果として山折りのところに微妙に触れています。
それによって、一の糸だけは、開放弦で弾いたときに、糸の音以外に棹に触れている「ビーン」とした音が出るんですね。
この音を、「サワリ」と呼びます。

ですので、さっきの溝を「サワリ溝」と呼び、山折りの部分を「サワリ山」と呼んでいます。

では、次に下の方の駒をご覧下さい。

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この黒い部品が「駒」といいます。 
お三味線の音にとても重要な音を果たしています。

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「糸道」と呼んでいる、糸を通す溝があいています。

地歌の駒は、鼈甲や水牛でできていて、内部に金属が埋め込まれています。
この写真のものは、水牛の角です。

次に、駒だけの写真をご覧になっていただきます。
これは鼈甲です。

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素材の他に高さも数種類あり、皮の状況やその日の天候等により、駒を変えます。

駒の裏をご覧になっていただきます。
2カ所の丸が、埋め込まれている金属で、これは銀です。
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この写真ではわかりずらいのですが、駒の裏側は周囲だけが皮に接するようになっていて、そのほかの内側は抉れていて、皮に接しません。
その接している部分が細いほど、良いと言われています。

下の写真の駒は、鉛が埋め込まれています。
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やはり、ランクとしては鉛→銀→金の順番に上がります。
たまに、この金属がちょっと浮いたりすると、音が濁ってきます。

今日のブログで紹介させていただいた、上駒と駒は、お三味線の糸に直接接しており、そしてその間で演奏するので、特に駒は音にとても重要な働きをします。
ですので、私共は、駒にはけっこうこだわります。

そして、左手でツボを押さえる爪や指先も大切ですね。

さてさて、次回は地歌三味線の撥や、素材の現状についてお話しをさせていただく予定です。

ですが、明日から用事があり一泊二日で神奈川に行くので、更新が数日お休みさせていただく可能性があります。ちょっとお待ち下さい。
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