みなさんこんにちは。群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

この度、新たなシステムを導入してみましたので、ご紹介させていただきます。
洋楽の方などにはすでに導入された方もいらっしゃるかもしれませんが、
邦楽の世界では、まだなかなか少ないのではないのかと思います。

従来から、楽譜のについてはいろいろと試行錯誤をしてきました。
問題点や要望としては、
・あまり荷物を増やしたくないが、弾ける曲の楽譜はある程度持って出かけたい。
・譜めくりの時に着物の袖が絃に触ってしまい、音が消えてしまう。特に五線譜の時に。
・演奏会ごとの楽譜整理がけっこう大変。
・演奏会が重なると、練習用の楽譜だけでもけっこうな量になる。
・お客様が近い演奏会でも、楽譜をなるべく小さくして、手元が隠れない様にしたい。
などのことがありました。
(「全部暗譜しなさい!」というご注意はわかっていますが、ここではスルーさせて下さい、、、笑)

例えば上記2点目の譜めくり。
私たちの楽譜は縦書きなので、問題は少ないです。
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右手で弾いていて、左手で譜を右の方に(矢印の方へ)めくります。

しかし、五線譜の場合は、
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右手で弾いていて、左手を右前に出して、譜を右から左にめくります。
これが、弾きながらだとけっこう大変。
また、袖が絃に触れると、音が消えてしまいます。
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これらのことを解決するために、iPadで楽譜を見ることができないか、考えていました。

ある人に雑談で話をしたところ、
「顔を振ると譜をめくってくれたり、足踏みペダルで譜をめくったりしてくれるのがあるよ」
と教えていただきました。

探してみると、ありました!
必要なものは、

・Air Turn PED
・for Score


でした。

Air Trun PEDとは、これ。
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Bluetoothでタブレットなどと接続し、左右のペダルを踏むことで、譜めくりができます。

そして、for Scoreは、iPadのアプリです。

要するに、「forScoreで表示した楽譜を、Air Turn PEDのペダルでめくる」というシステムです。

forScoreというアプリですが、これがかなり優秀!
・楽譜は、Dropbox経由やBluetooth通信、カメラ撮影などで読み込むことができます。また、楽譜は仲間とシェアすることもできます。ピアノ譜でしたら、ダウンロードも可能な様です。
・私は、スキャナで読み込んでPDFとしてパソコンに取り込んだものをDropboxにアップして、iPadからDropboxにアクセスして読み込んでいます。
(注意!:楽譜は原則コピーなど禁止です。私は、正規に購入したものを、自分の使用に限ってスキャナで読み込んでいます。)

・読み込んだ楽譜は、「作曲者」「キーワード」「ジャンル」などの言葉を登録することができ、それらの言葉で分類できます。これで楽譜の整理は瞬時にできます。

「セットリスト」という機能で、演奏会別に演奏する曲の楽譜を登録することができます。もちろん、一つの曲を複数のセットリストに登録することもできます。そして、楽譜に変更を加えた場合は、すべてのセットリストでその変更が自動的に反映されています。セットリスト内の曲順の変更などもあっという間です。
・一つの「セットリスト」の中では、次の曲に行く時も、ページをめくると同じ感覚で次の曲に行くことができます。

・楽譜には、注釈を書き込むことができます。その注釈も、色や太さ、透明度を変えることができるので、譜面の上に透明の字を書いたり、注意点ごとに色を変えたりできます。もちろん、それは後で消すこともできます。私は、カットや注意点などを書き込んでいます。そして、一つの演奏会が終われば、その時のカットは消せば良いのです。

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オレンジ色の線を後から記入しました。もちろん、消去可能。

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「おちついて」という文字は透明度を少し高めていますので、
譜面の上に書いても譜面は読むことができます。設定で、もっと透明にしたり、色を変えたりできます。

・「セットリスト」内の曲の終わりが近づくと、次の曲が表示されます。また、そこには通常は時間が表示されているので、時間の確認も簡単にできます。下の写真には「次:五十鈴川」と表示されています。これが、次の曲の表示機能です。
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「リンク」という機能では、ダルセーニョやコーダ、繰り返しへ飛ぶ設定ができます。例えば、「ダルセーニョ」のところに設定した印をタッチすると、その戻る部分の楽譜が自動的に表示されます(写真は後にあります)。

・ページの削除や並べ替えなども思いのまま。

そして、Air Turn PEDですが、こんな感じです。
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足の下にあります。
私たちが「立奏」と呼んでいる「椅子に座った演奏」の時には、この様な使い方になります。
正座で演奏する「座奏」の時は、どうしましょうか??。タブレットの画面をスワイプですね。

初めてペダルを踏み、タブレットに表示されている楽譜がめくれたときは、ちょっと感動しました。

ただし、おそらくこの製品は靴を履いた使用を前提としているのでしょう。足袋や靴下だけの時は、なかなか反応せず、親指を曲げて上から軽くたたく様に押して、やっと反応しました。慣れるまでは演奏に影響するので、ちょっと大変です。草履を履いたら、問題なく反応してくれました。

ただ、改善してほしい点も少しあります。forScoreのアプリに関するものがほとんどですが。

・「注釈」で線などは記入できますが、「テキストボックス」を入力できると良いです。細かい注意点を指やスライラスペンだけで記入するには、かなりの熟練が必要で、ピンポイントで注意を書きたい時などはテキストボックスがある方が良いと思います。

・画面に2ページを表示できる機能があるのですが、横書きが前提のために、縦書きの楽譜だと左右が逆になってしまいます。これは、設定などで変えられるとありがたいです。ここが対応できると、邦楽関係者には朗報ではないでしょうか。
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これが画面に2ページを表示した状態なのですが、ページの順番が左から右になってしまっています。縦書きの場合は右から左ですよね。
ちなみに、右下の青い丸は、「リンク」という機能です。ここは繰り返しの場所なのですが、この青い丸をタッチすると、繰り返す部分に楽譜が自動的に戻ります。

・Air Turn PEDの左右のペダルの設定を変えられると便利。設定の変更の仕方がまだわからないのですが(変えられるか不明)、今は右のペダルで楽譜が進み、左のペダルでページが戻ります。これは、好みやいろいろあるので、変えられると良いのではないでしょうか。

そして、タブレットを立奏台に固定してみました。
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こんな感じです。

演奏者側から見てみると、
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ちょっとスマートに見えますかね。

早速、今日のちょっとした演奏の時に試してみたところ、一回ページをめくりすぎて焦りましたが、ほぼ問題なく進行できました。曲の解説なども入れておいたので、スムーズにいけたと思います。また、お客様からは「今はこういうのもあるんだ」という反応が多かったです。

画面のサイズは、B5サイズの楽譜よりも小さいですから、初見で楽譜を見ながら弾くのは厳しいと思います。演奏の時には、ほぼ覚えていますから、「確認のために見る」ということには便利です。
ですので、通常は紙の楽譜で練習をして注意事項の書き込みなどを行い、演奏会本番のちょっと前になったらPDFにして読みこむ、という使い方がいいのかと思います。

もちろん、演奏は暗譜が理想です。
でも、こういう試みがあっても良いでしょう。

親師匠の社中や他の先生方と一緒の時にはなかなか難しいかもしれませんが、私の企画などの時には積極的に使って行こうと考えています。

長文におつきあいいただき、ありがとうございました。