みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

引き続きお三味線のお話しをさせていただきます。 

まずはこの写真をご覧になって下さい。
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この部分は、お三味線の 一番上ですね。

一番上のカーブしている所は「天神」、糸を巻いている白い三本の棒は「糸巻き」
そして、天神の下の四角く穴が開いている部分は「糸倉」と呼びます。 
ちなみにこの糸巻きは象牙製で、他に黒檀でできている黒い糸巻きもあります。

下は、糸倉の下の部分を拡大した写真です。
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金属のプレート状の様なものがあります。
これは、「上駒(かみごま)」といいます。
お三味線の下の方で使う「駒」と合わせて、糸を浮かせ、支えます。

で、注目していただきたいのが、上駒は糸を2本しか支えておらず、左の「一」の糸は上駒の上に乗せません。

そして、実はこの一の糸が通っているところには、少し溝が掘ってあり、二の糸や三の糸に較べて、若干低くなっています。

では、この写真の左から見た状況が次の写真です。

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一番手前が「一」の糸なのですが、奥に見える「二」の糸に較べて棹に近いことがおわかりいただけるでしょうか。
そして、上駒のすぐ下に、若干山折りの様になっているのが見えますでしょうか?

一の糸だけが上駒にのらずに、代わりに溝を通り、そしてその結果として山折りのところに微妙に触れています。
それによって、一の糸だけは、開放弦で弾いたときに、糸の音以外に棹に触れている「ビーン」とした音が出るんですね。
この音を、「サワリ」と呼びます。

ですので、さっきの溝を「サワリ溝」と呼び、山折りの部分を「サワリ山」と呼んでいます。

では、次に下の方の駒をご覧下さい。

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この黒い部品が「駒」といいます。 
お三味線の音にとても重要な音を果たしています。

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「糸道」と呼んでいる、糸を通す溝があいています。

地歌の駒は、鼈甲や水牛でできていて、内部に金属が埋め込まれています。
この写真のものは、水牛の角です。

次に、駒だけの写真をご覧になっていただきます。
これは鼈甲です。

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素材の他に高さも数種類あり、皮の状況やその日の天候等により、駒を変えます。

駒の裏をご覧になっていただきます。
2カ所の丸が、埋め込まれている金属で、これは銀です。
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この写真ではわかりずらいのですが、駒の裏側は周囲だけが皮に接するようになっていて、そのほかの内側は抉れていて、皮に接しません。
その接している部分が細いほど、良いと言われています。

下の写真の駒は、鉛が埋め込まれています。
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やはり、ランクとしては鉛→銀→金の順番に上がります。
たまに、この金属がちょっと浮いたりすると、音が濁ってきます。

今日のブログで紹介させていただいた、上駒と駒は、お三味線の糸に直接接しており、そしてその間で演奏するので、特に駒は音にとても重要な働きをします。
ですので、私共は、駒にはけっこうこだわります。

そして、左手でツボを押さえる爪や指先も大切ですね。

さてさて、次回は地歌三味線の撥や、素材の現状についてお話しをさせていただく予定です。

ですが、明日から用事があり一泊二日で神奈川に行くので、更新が数日お休みさせていただく可能性があります。ちょっとお待ち下さい。