みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家鈴木創 です。

私共邦楽の世界には、「邦楽ジャーナル」という月刊の情報誌があります。
ここ数ヶ月、その誌上で邦楽の楽器の販売数が過去に較べて激減していることや、現在の邦楽が置かれている現状に対する提言などが紹介されております。

最新刊である7月号には、「外から見た邦楽」として、コロンビア大学のアメリカ人日本研究家の文章が掲載されました。
現在の邦楽がおかれている状況の原因の一つに、明治維新以降の「和楽器は洋楽器に較べて原始的」と見なされて洋楽器教育が優先されていることなど、概ね指摘事項には同意できる部分があります。

しかし、何カ所か、激しい違和感を憶えました。
とくに、
「どういうわけか、邦楽演奏家の多くが、音楽とは無関係で歴史的に正しい訳でもない着物に執着し、床に座って演奏するのです。」
という文章です。

着物が歴史的に正しいのか、それは私はわかりません。
ただ、着物は必然的なものと私は考えております。

特にお三味線です。

右足の上にお三味線を乗せますが、着物の場合、右足の上に布の合わせの端が来るので、そこにお三味線を乗せるとお三味線が安定します。
袴も、袴の生地の上にお三味線がしっかり乗って、安定します。

お三味線を弾くときは、右手を胴の上に置きますが、素肌で置くのが一番安定します。
シャツの袖があると、滑るんです。ですので、洋服の場合は、右手の袖をまくることもあります。これは見た目があまり良くなく、舞台の上ではみっともないですね。
その点、着物は袖をめくることも必要なく、自然に素肌を胴の上に置くことができます。

正座ですが、これは比較的長い期間演奏やお稽古をされている方はおわかりかと思いますが、椅子に座る演奏よりも、正座の方が断然体の安定感があります。
お箏は上半身を使いますが、これも正座の方がやりやすいと感じております。

「演奏会告知などでよく見かける着物姿の写真はどれも同じ」などとも表現しております。
洋楽のクラッシックの方でも、ほぼ例外なく、男性はタキシード・女性はドレスです。はっきり言って、「写真はどれも同じ」という言葉がそのまま当てはまるのではないでしょうか。

私は、演奏のスタイルとしては、会場の都合やその演奏のコンセプトによって、椅子に座るスタイルも行っておりますし、黒紋付き以外の着物も着ますし、時には洋服での演奏もしております。

また、この文章の中には、流派のことや、親師匠とお弟子さんの関係などのことにも触れられております。確かに、指摘の様な問題もあります。しかし、私共の年代では、そういったことをこれからは変えていかなくてはならない、という認識を持っている人が多く、変えようとしているんです。そういう現状を知らずに、邦楽界全体の共通認識の様な文章には違和感を憶えました。

確かに、この研究者の文章は、概ね同意できるところがあります。
しかし、一昔前の状況しか見ておらず、私たち世代の取り組みの認識がなく、さらには次への具体的な提案もないんです。
一つの視点として大変参考にはなりますが、違和感の多い文章です。


□公演日程□
7月21日:夏の縁(竹久夢二伊香保記念館)詳しくはこちら
7月28日:弦が繋ぐ世界(カフェヒュッゲ、高崎市)くわしくはこちら
8月11日:山田さんと生田くん(アトリエミストラル、高崎市)詳しくはこちら
9月24日:前橋まちなか音楽祭 糸と皮の対話(煥乎堂ホール/前橋市) 詳しくはこちら

◇下記公演については、決定次第お知らせいたします◇
9月15日:日本の音を愉しむ 足利(レストランビアンベニュー、足利市)