こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

毎週水曜日、まえばしCITYエフエムでお送りしているラジオエッセイ「はじめのまえばし心の旅」、昨日9月15日のテーマは「夕立」でした。

リスナーさんからのメールで、「昔も夏は暑かった!1978年に35度を記録している」というご指摘をいただきました。ありがとうございます。その夏、私は2歳で覚えていません!(笑)

いろいろなご意見ご感想、そして聞きたいテーマ、番組にメールでお寄せ下さい!!

音声データは、こちらからお楽しみ下さい。

3558559_s

ゴロゴロゴロ、ピカ!ドッカーン、ザー!

夏の夕暮れ時、なんとなく埃の匂いが舞い上がり、 そして雷が轟くと、それを合図とするかの様に、ザーッと雨が降る。その雨は、夏の暑い昼 から、ちょっと涼しい夜へと変わる転換点だ。


昭和の時代、夏の盛りでも、今の様に毎日30度を超える様なことはなかったと思う。朝は 暑さがまだかわいく、昼にピークがくる。そして夕立の後は、気温も下がり、風が抜け、窓 先に吊るした風鈴の音や、蛙や鈴虫の合唱が、涼しさを運んで来てくれる。

我が家は当時、 下細井の県営住宅に住んでいたが、エアコンはなく、窓を開けて扇風機だけで夏を過ごして いた。そして、夕立の後は、窓辺に座ったり、祖父母の家では、縁側から庭に足を下ろした りして、夕涼みをする。そういえば、祖父母の家に泊まった時は、夏は蚊帳を吊っていたの を思い出した。あれは、涼しさを取り入れるために、窓を開けて寝ていたからなのかもしれ ない。


その頃の雨は、まさに「夕立」と言うのにふさわしいさわやかなものだった。
それが今はどうだろう。8 月になると毎日30度を越し、呼吸をする息も暑く、殺人的な 日々が続く。暑さがパワーアップしたせいか、夕立もパワーアップして、もはやもう夕立で はない。「ゲリラ豪雨」とも呼ばれるが、もう日本は温帯ではなく熱帯となっていて、この 雨は「スコール」なんじゃないかと思う。
そして、雨が上がった後も、涼しくはならずに暑さとムシムシが続く。

夕立には情緒を感じるが、ゲリラ豪雨には恐ろしさしか感じない。
まあ、そんな夕立やゲリラ豪雨に共通するのは雷だ。急に暗くなった空に、一瞬の光が走る とともに、轟音が轟く。上毛カルタに「雷とからっ風義理人情」と詠われている様に、夏の 雷は、群馬の一つの名物であろうし、群馬県人の気性を形作っている要因の一つだろう。
また、旧宮城村にある電力中央研究所では雷の研究もしているといわれており、あれだけの 施設があるのも、夕立の雷のおかげかもしれない。

そういえば子供の頃、「おへそ出してると、雷様に持っていかれるよ!」と注意されたなあ。 あれは、服装をちゃんとしなさいとか、お腹を冷やして下痢をしたりしないようにという意 味だったのだろうか。

ようやく秋の足音が聞こえてきた。夕方のゲリラ豪雨に悩まされる季節も終わったかもし れない。でも、冬のからっ風とともに、夏の雨も、前橋の一つの風物詩と言えるだろう。