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箏曲家 鈴木創 公式ブログ「ことはじめ」

群馬県前橋市を拠点に活動する箏曲家鈴木創の公式ブログ「ことはじめ」です。

宮城道雄

13 11月

11月27日の演奏曲目について③

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

11月27日の「歌と邦楽器によるコンサート 祈り、想ふ」の演奏曲目についての3回目です。

1回目は、ユーミンや中島みゆきさんの曲について、2回目は、群馬や前橋に関係した曲についてお話をさせていただきました。

3回目の今日は、お箏らしい曲も演奏するので、その曲目についてお話させていただきます。

一曲目は「秋風の曲」。

江戸時代後期に活躍した光崎検校の作曲です。
題材は、玄宗皇帝と楊貴妃の物語、白楽天です。

玄宗皇帝は楊貴妃を寵愛するあまりに政治が疎かになり、 安史の乱を招きます。
反乱の中で、皇帝は寵妃の殺害を命じざるを得なくなります。 
反乱が落ち着き、皇帝たちは都に戻りますが、半軟禁状態に置かれ、そこには愛した楊貴妃はいません。

それを当時の日本語で謳っております。
お箏の調子(チューニング)はこの曲のために作られた特別のもの。
華やかさと寂しさ虚しさを同時に感じる大曲です。

失った大切な人を想う曲です。

もう一曲は「春の海」。
宮城道雄作曲作品で、お正月は誰でも耳にするあの曲です。
でも、テレビなどで流れるのは冒頭部分で、なかなか全曲をお聴きいただいたことはないのではないでしょうか。 
「新年」というわけではないですが、来年はいろいろなことが再始動することを願い、演奏いたします。 

まちなか音楽祭オモテ
 
10 11月

11月27日の演奏曲目について②地元への想い

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

11月27日の演奏曲目の紹介その②です。

今日紹介するのは、「甘楽民謡」と「広瀬川」です。

この2曲は「地元への想い」というテーマで選びました。
どちらの曲も、前橋や群馬に関係しております。


「甘楽民謡」は、昭和初期に生まれた作品です。
当時、現在の富岡市は「北甘楽郡富岡町」でした。
その地域の地域振興を図る「ご当地ソング」として生まれております。
歌詞を一般公募し、そして歌詞の選定と作曲を宮城道雄先生が行ったんです。

この曲は宮城作品としてあまり知られておりませんが、
あるきっかけで私が出会い、それ以来、たまに演奏をさせていただいております。
群馬にゆかりのある宮城道雄先生の作品が見つかり、感無量です。


もう一曲の「広瀬川」は、萩原朔太郎の詩「広瀬川」に曲をつけた作品です。
作曲者は塩原義昭さんといい、赤城山の大沼近くで、旅館を営んでいた民間の音楽家です。
たまたまなのですが、私は塩原さんの奥さんなどとご縁があり、資料を少しいただきました。
伴奏はピアノで作曲されているのですが、それをお箏に編曲してあります。

「広瀬川」、私は朔太郎の詩の中で一番好きな作品かもしれません。

この群馬や前橋にゆかりのある作品を、是非お楽しみ下さい。


まちなか音楽祭オモテ


 
17 8月

あたご歴史資料館

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

先日、私の手元に、
「記録でつづるあたご歴史資料館」
という本が届きました。


2020-08-17 18.09.19


これは、前橋市住吉町二丁目にあった「あたご歴史資料館」がこの3月に閉館となり、それをきっかけに作成された本です。

「あたご歴史資料館」は、75年前に前橋の中心市街地を襲った空襲のことをメインに展示していた資料館で、住吉町の地域の方々によって運営されていました。

大切な資料を保管し、地域の方が管理や説明を行い、市内の他施設との連携や、さまざまな団体との協力を通じ、前橋の歴史の顕彰に大きな役割を果たした資料館です。

しかし、関係する方々の高齢化などにより今年3月に閉館となりました。
展示物などは前橋市が中心となって今後のありかたを検討している様ですが、ぜひまた前橋市の歴史を雄弁に語るモノの証人として、有効に活用していただきたいです。

この本、とても良く構成されています。

本を作成した主旨 → あたご歴史資料館開設の経緯 → 以前のあたご歴史資料館のある地域の状況 → 柳座の考察 → 戦時下の時代(実際に当時を生きた方の証言) → 対談:戦後の生活 → 旧安田銀行担保倉庫現況と今後 → あたご歴史資料館から学んだ7年 → 前橋空襲の被害状況の被害と分析を目的とした米国陸軍によって撮影された前橋中心市街地の映像シーンの詳細についての調査 → 編集後記

となっており、
あたご歴史資料館のことを軸に、地域の歴史、地域に残る歴史的な建物の詳細、そしてきっても切り離せない前橋空襲の話しなどから、住吉町地域と前橋の中心市街地の歴史が、あたかも自分の目の前で繰り広げているかのように理解することができます。

その中で、印象的だった言葉が「戦時下の時代」という文章の終盤にある、

「ふと振り向くと、廃墟の中に凜としてそびえ立つ「麻屋百貨店」「麻屋」が元気だ。そうだ私たちも頑張ろう。」

という一文です。

「麻屋」は、前橋の中心市街地のまさに中心に、昭和9年にオープンした鉄筋コンクリート造アールデコ調の群馬県で最初の百貨店で、当時の最先端を行く施設でした。

空襲で焼け出された方が、その麻屋を見て、復興への決意を新たにした、そんな力を持った建物です。
 
昭和39年には麻屋としての営業は終了していましたが、私が子供の頃から、1階でテナントが入居して営業していました。
そのころ見てもお洒落な建物で、前橋の中心部の一つのシンボルで、登録有形文化財になっていました。 

その建物を、当時の市政関係者たちが、平成23年に解体をしてしまったんです。
その頃から私は、前橋の歴史とシンボルを破壊する、犯罪的行為と感じていました。
本当に前橋は、素晴らしい宝物を失いました、、、

また、この本に出てくる「柳座」は、あたご歴史資料館の隣接地に、明治初年から昭和18年まで存在した芝居小屋です。

この本では、柳座での公演内容が、明治前半から昭和18年まで、一覧表となってかなり詳しく掲載されています。

その中に、こんな項目が!

2020-08-17 18.09.42

昭和7年、宮城道雄先生が、柳座にいらしていたことがわかりました!

今までは、「大正末期に来ていた」という話しはあったのですが、この資料によって、時期は違いますが、宮城道雄先生が確実に来ていたことが分かりました。

こんど、柳座の跡地に立ってみたくなりました。

今回の本、市民が生の声でまとめた前橋の歴史という面で、とても大きな資料価値があると思います。
ここまであたご歴史資料館に尽力された皆様や、今回の本の編集に携わった皆様に、深い敬意を感謝を表します。

 
13 1月

道山会尺八演奏会

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

先日、紀尾井小ホールで行われました、
「第一回道山会尺八演奏会」にお伺いしてきました。


2020-01-13 10.17.50

ちょうど東京にいるタイミングでの開催。

道山会とは、都山流尺八の藤原道山さんの社中です。
社中の会ではありますが、糸方(お箏やお三味線の演奏者)は東京藝術大学を卒業した宮城会の中堅から若手の専門家ばかりで、とても豪華なメンバーでした。

演奏内容は、「流祖中尾都山と宮城道雄」とのサブタイトルにあるとおり、大正10年頃に中尾都山先生と出会った宮城道雄先生がどの様に音楽的な影響を受けたか、また宮城作品の中で尺八の重要性が如何に高まったかが、よく分かりました。

その中で、私にとっては未知であった宮城道雄先生が作曲された尺八の三重奏曲を初めて聴いたり、音源を聴いたことはありますが生の演奏を初めて聴いた「春陽楽」という演奏時間40分に及ぶ邦楽の大合奏曲もありました。

プログラムの解説も昔の資料などを掲載してかなり資料性が高く、勉強になる内容となっております。

また、「玲琴」という、オリジナルは4挺しかないといわれいてる楽器が2挺使われ、戦後初の試みとのことです。

もちろん、藤原道山さんの澄んだ尺八の音色は心を洗われる気分になりました。

こういった、邦楽の魅力を発信する機会に触れることができ、自分にも大きな刺激となる時間でした。 
25 6月

増上寺で行われた宮城道雄先生の浜木綿忌に参列

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

今日、6月25日は、私が所属する宮城社・宮城会の創設者で、「春の海」などの作曲者として名が知られている宮城道雄先生のご命日です。

昨年に引き続き、東京芝の増上寺で行われた法要に参列させていただきました。
今年で64回忌となります。


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宮城道雄先生の命日には「浜木綿忌」という名前が付いており、法要の後に開催された「浜木綿忌のつどい」にも参加させていただいました。

凡そ150名の関係者がいらっしゃり、食事の後には生前の宮城道雄先生が映画の中で演奏されている映像を編集したものも放映され、宮城道雄先生の演奏する手元を拝見することができました。

先生に芸道精進をお約束し、前橋に戻ってきました。

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