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箏曲家 鈴木創 公式ブログ「ことはじめ」

群馬県前橋市を拠点に活動する箏曲家鈴木創の公式ブログ「ことはじめ」です。

楽譜

25 2月

楽譜の変換

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

今度、今までに勉強していないお三味線の曲を弾きます。
「端歌」というジャンルの曲です。

楽譜を取り寄せたのですが、 「文化譜」とうタイプの横書きの楽譜で、
私が普段使っている縦書きの楽譜と違うんですね。

縦と横の違いならなんとかなるのですが、
左手で押さえるツボ(勘所)の数字が1つずれていたり、
いろいろ違うところがあるので、 手書きで変換します。

短い曲なので、すぐにできましたが、長い曲だと泣きそうになります(笑)


2022-02-25 20.10.55
 
20 2月

お三味線の楽譜で紆余曲折

こんにちは。はじめちゃんこと群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

今日は、お三味線の楽譜のことをちょっとお話しします。

4月上旬の舞台のお話をいただき、演奏曲目が決まりました。

2曲のうち1曲は私どもで受け継いでいる曲ですので問題なかったのですが、もう一曲について、紆余曲折がありました。

曲名をお伺いすると、生田流にある曲でした。
そして、お箏とお三味線があるのですが、お三味線の指定でしたので、その曲のお三味線の楽譜を取り寄せました。

その後、音源をいただいたら、なんと、まったく曲が違うんです!!

どういうことかというと、山田流に同じ曲名で異なる曲があり、そっちの曲のことだったんですね。

まず、楽器店にその曲のお三味線の楽譜を問い合わせると、「ない」という返事。
お箏の楽譜はあるのですが、お三味線の楽譜の出版社が事業を停止しているために、楽譜がないんですね。

次に、お付き合いのある山田流の方に問い合わせをしたところ、他の方がお持ちの楽譜の写しをいただることになりました。今日になり、その写しが手に入りました。

山田流で使っているお三味線の楽譜は横書きです。
多く目にするのは、「文化譜」と呼ばれている楽譜です。

一方、私どものお三味線の楽譜は縦書きで、「家庭譜」「縦譜」などと呼ばれています。
「家庭譜」という名前は、「大日本家庭音楽会」という会社から発行されているのに因んだ名前です。

「文化譜」と「縦譜」は、どちらも左手で押さえる所(「ツボ」と呼びます)を楽譜に記している「タブ譜」なのですが、数字がひとつずつずれています。「文化譜」は開放絃が0で、そこから高くなるにしたがって1、2、と数字が増えていくのですが、「縦譜」は開放絃が1になっています。

ですので、「文化譜」から「縦譜」に変換するときは、基本的には1ずつ数字を足していけばいいんですね。

今日もそのつもりで、いただいた楽譜を縦譜に変換していたのですが、どうもおかしいのです。変換した楽譜を見ても、メロディが見えないんです、、、

そこで「あ!!」となったのですが、いただいた楽譜が「文化譜」ではなく、「研精会譜」「小十郎譜」と呼ばれている譜なんです。

この譜は、タブ譜ではなく、ドレミを数字で表しているんですね。
ド(C)が1で始まり、シ(B)が7です。

上下三段になっていて、下の段から上に向かって、一の糸・ニの糸・三の糸で、それぞれの糸でどの音を出すかを、数字で表しています。
例えば、真ん中の段に5と書いてあれば、「ニの糸で、ソの音を出す」という意味なんです。

なので、タブ譜に慣れている私は、この譜を見ても、左手がどこを押さえていいのかわかりません。

おまけに、私どもはお三味線の「本調子」を低い一の糸から「DGD」とするのですが、研精会譜は「BEB」なんです。

ですので、研精会譜で「三の糸の1の音(C)」と書いてある場合は、「BEB」の調子で押さえるツボを考えるという作業が必要になります。

さらに、途中で「二上がり」という、二の糸が一音上がった調子に変わるので、同じ音が書いてあっても、押さえるツボが変わります。

そんなこんなで、「曲が違う」「楽譜がない」「見つかった楽譜が研精会譜だった」という、3つの問題を解決し、かつ、なんとか、お三味線の変換作業が終了し、先ほど確認を終えました。

次は、歌で同じことをしなければなりません、、、




 
4 5月

おことの楽譜の読み方。動画編。

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

「お箏の楽譜の読み方」、以前このブログにも上げましたが、
今でもけっこう上位に入ってくる、人気記事となっております。

今回、その動画を作成し、YouTubeにアップしました。
6分弱の動画となっております。
お気軽にご覧下さい。


 
5 2月

お三味線の楽譜の読み方

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。 

今日は、お三味線の楽譜の読み方をお話しさせていただきます。

お三味線は、沖縄の三線が大阪府堺市に16世紀中盤頃上陸したのが、日本での歴史の始まりと言われています。
まず琵琶法師達が手に取り、その後各地で楽器の改良などが進みました。
その結果として、一口に「三味線」といっても、細かな違いで、かなりの種類に分かれています。

私が弾いているお三味線は、棹の太さから「中棹」と呼ばれ、またジャンルは「地歌(唄)」です。地歌の世界では、お三味線のことを「三絃(弦)」と呼ぶことが多いですね。
撥は、津山撥と呼ばれる、一番大きな撥を使っております。

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今回紹介させていただく楽譜は、私が所属する生田流宮城派で使っている楽譜で、いくつかあるお三味線の楽譜の、一つの例となります。最後に少し説明させていただきますが、他の楽譜もあります。

まず、一番基本的なことから。

・お三味線は、絃が三本あります。
・絃は、一番上から「一」「二」「三」と名前が付いています。
・「一」の糸が一番太く、低い音が出ます。「三」は細くて高い音が出ます。
・左手の指で糸を押さえることにより、音の高さを調節しますが、ギターの様にフレッドはなく、押さえる場所は体で覚えます。
・押さえる場所は、ツボと呼びます(「勘所」と呼ぶ方も多いですね)。

下の写真を見て下さい。
絃の太さの違いがおわかりいただけるでしょう。
左の太い糸が「一」です。
左手の人差し指で、三の糸を押さえている状態です。
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ツボを押さえている状態を、上から見るとこんな感じです。
親指に、何か巻いています。
これは、「指スリ」とか「指かけ」などと呼んでいて、
人差し指と親指の間にかけ、左手が棹に沿って動きやすくするための小物です。
※自撮りですので、実際の演奏の際とは棹の角度が異なっています。
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 では、楽譜に進みましょう。
・お箏と同じく、私共は縦書きの楽譜を使っています。
・文字の種類で糸を、数字でツボの場所を表しています。

・三の糸:算用数字。→1、2、3、4、5など。
・二の糸:漢数字→一、二、三、四、五など。
・一の糸:にんべんが付いた漢数字です。→イ一、イ二、イ三、イ四、イ五など。

・そして、各糸の「いち」は開放弦です。→1、一、イ一
・数字が大きくなれば、下の方のツボを押さえること二なり、音が高くなります。

下の写真をご覧になって、お読み下さい。

・Aの丸は、算用数字ですので、一番細くて高い音が出る「三」の糸です。その、5と2のツボを交互に押さえて弾きます。ですので、左手が上下移動します。
・Cの丸は、算用数字の1ですので、三の糸の開放弦です。
・Bの丸は、漢数字ですので、真ん中の二の糸を、五と二のツボを交互に押さえて弾きます。
・Dの丸は、漢数字の一ですので、二の糸の開放弦です。
・Eの丸は、にんべんが付いているので、一の糸の四のツボを押さえて弾きます。
・数字が同じであれば、糸が違っても、同じ高さの場所を押さえます。音の高さはもちろん違いますが。例えば、三の糸の5と、二の糸の五のツボは、指を平行移動すればいいのです。

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では、次の写真をご覧になりながら、お読み下さい。
少し発展的な内容になります。

・イの丸ですが、1の右に点がついています。点は、10以上のことで、これは、三の糸の11のツボを表しています。また、「エ」というのは、薬指のことで、11のツボを、左手の薬指で押さえなさいという指示です。
・ロの丸ですが、これはすぐ上の9を弾いた後に、左手を動かして、余韻の音を上げ下げする記号です。一つ目が、手を下に下げて音を上げ、2つめが手を上に上げて音を下げます。次の6の右に「中」と書いてありますが、これは左手の中指でツボを押さえなさいという指示です。
・ハの丸ですが、これは左手の薬指で、糸をハジキます。人差し指で、すぐ上の2のツボを押さえながら、薬指でハジキます。
・二の丸ですが、これは「スクイ」といい、撥先を糸の下から上に上げて、通常の動き(上から下)とは逆の動きで音を出します。

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また、楽譜を見ていただくと、左側にカタカナでチンとかリンなどの記載があります。
これは、唱歌とか口唱歌とか口三味線などと言われており、一定の法則に基づいています。
例えば、一の糸の開放弦は「トン」、一の糸のツボを押さえる音は「ツン」、三の糸の開放弦は「テン」、ツボを押さえる音は「チン」などです。
ですので、口唱歌を憶えれば、だいたい曲の暗譜もできます。
 
なお、この楽譜は数あるお三味線の楽譜のうちの、一つの例です。
長唄などでは、「文化譜」と呼ばれている横書きの楽譜を使っております。
そして、文化譜の場合は、開放弦を0(ゼロ)で表現します。
私共は、開放弦が「いち」ですので、そのままツボを押さえる表記も、私共と文化譜では、全部数字が一つずれています。
例えば、私たちが「5」と呼んでいるツボの場所は、文化譜ですと「4」になります。 

いかがでしたでしょうか。
質問等あれば、どうぞご遠慮なくご連絡下さい。 
31 1月

お箏の楽譜の読み方

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。 

沢山の方から、「おことの楽譜ってどういうの?」と聞かれることがあったり、
また、楽譜をのぞき込むようにして見る方もいらっしゃいます。

そこで今日は、お箏の楽譜の読み方の基礎的なことを、お話しさせていただきます。 

まずはこの写真。
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これは、お箏を演奏者の視点で見た写真です。
お箏の糸は13本あり、遠い方から手前に向かって、一から十。そして、十一本目からは斗(と)・為(い)・巾(きん)と名前が付いています。
「一二三四五六七八九十斗為巾」です。

その糸の名前を、写真の右のところに記載しておきました。
実際のお箏に書いてあるのではありません。

ちなみに、糸を支えている白い道具は、「柱(じ)」といい、
これを動かすことで、糸から出る音を調節します。
右に動かすと音が高くなり、左に動かすと低くなります。

そして、楽譜には、弾く糸の名前が書いてあります。 
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私どもが使っている楽譜は縦書きです。
一つの四角が一拍となっており、右まで繋がっていない横線で、その一拍が上下に分かれています。
従って、その横線の上が表間で、下が裏間です。
この楽譜ですと、一拍に七の糸を一回弾くこと三回行い、四拍目の丸は休みです。

五線譜に例えると、この「七」一回は、四分音符に相当します。
もし、裏間にも音が記載されていると、八分音符となります。

特に指示がない場合は、親指で弾きます。

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この楽譜には、オレンジ色の丸を3つつけておきました。

右の丸の場所には、「3」と記載されていますが、これは指の指定です。
「3」は中指ですので、一の糸を、中指の爪で引きます。
ちなみに、親指の1から順番になっており、小指が5です。

左のオレンジ色の丸のところには、「オ」という字がみえるでしょうか。
これは、一緒に書かれている九の糸の、柱の左側を左手で押して、本来の音より一音高い音を出しなさい、という意味です。
因みに「ヲ」の場合は、「半音高い音を出しなさい」となります。
「押し手」という技法なのですが、初心者の方はなかなか苦労します。

真ん中の丸は、七の後にオが書いてあります。
これは、七の糸を引いた後に、七の糸の柱の左側を左手で押し、余韻の音を一音上げなさい、という意味です。

ざっくりと説明させていただきましたが、おわかりになりましたか?
疑問点などありましたら、どうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。

なお、お箏の楽譜は、一種類ではありません。いくつもの種類があります。
今回ご紹介させていただいたのは、私が所属する「生田流宮城派」の楽譜となります。

因みに、山田流の楽譜は横書きで、「一」を「壱」と表記したり、テンポや押し手などの表現方法が異なります。 
同じ生田流でも、裏間と表間の間の線がないなど、流派によって微妙な違いもあります。

次回は、お三味線の楽譜の見方をご紹介させていただきます。 
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