こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

シリーズでお知らせしている、4月20日「箏の音に夢のせて」の演奏曲目の紹介です。

今回は、「水の変態」

「変態」という言葉は、一般的には「おかしな人」みたいなイメージもありますが、「形態を変えること」という意味もあります。例えば、虫が幼虫から成虫に姿が変わることなどですね。

「水の変態」は、水がいろいろな天然現象となって姿を変えることです。
例えば、雨・霧・雲・雪・霰など。

この曲の歌詞は、その霧・雲・雨・雪・霰・露・霜にちなんだ7首の連作短歌です。
それぞれの形態の様子と、それを表す歌の雰囲気を、箏の手で表現しています。

とても難曲で、弾きこなすには相当の技術が必要です。

そんな難曲なのですが、作曲者宮城道雄先生がこの曲を作曲したのは、なんと満14才の時だったんですね。

当時家庭の事情で、日本統治下の朝鮮半島に住んでいた宮城道雄師は、習うべき先生もなく、すでに習っていた曲の反復練習だけでは飽き足らなくなったんです。
そんな折り、弟さんが学校の教科書で読んでいる詞を聞き、それに興味をもち、作曲しました。
その詞が、この曲の歌詞になっています。

約1ヶ月かけて作曲されたという記録が残っていますが、わずか14才の少年が、もっと学びたい、成長したいという想いをすべてぶつけた曲に感じます。背伸びしたのかもしれません。宮城先生の作品の中でも、一二を争う難曲です。

今回は、主催の先生と、もうお一人での合奏です。
私もお聴きするのがとても楽しみです。

夢チラシ2019 1