hajime_koto

箏曲家 鈴木創 公式ブログ「ことはじめ」

群馬県前橋市を拠点に活動する箏曲家鈴木創の公式ブログ「ことはじめ」です。

30 3月

どれにしようかな〜

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

今週の日曜日、4日は「美登利会」です。


 2021-03-15 08.56.47

お三味線も弾かせせいただくのですが、2挺あるお三味線のうち、どっちを使うのかを迷っています。

その2挺、けっこう音が違うんです。

さらに、駒との組み合わせによっても音が変わってきます。

もし、駒が2つあるとしたら、駒2つにお三味線2挺、4通りの中からどの組み合わせにするか選びます。

ただ、今いくら迷っても、当日の天気や会場との相性、空調の具合などでも変わってくるので、結局は当日会場で決めます。

そして、使わない方のお三味線は、「替え三味線(「かえじゃみ」と呼ぶことが多いです)」として使います。これは、演奏中に糸が切れるなどのハプニングが起きた際に交換する予備の三味線のことで、すぐ後ろや横に置いておきます。

2021-03-25 20.45.16

もし、今度お三味線の演奏をご覧になることがあったら、よく見て下さい。
予備のお三味線が、布を被せて置いてあるかもしれません。
 
7 12月

あー、やっちゃった。お気に入りの駒が傷物に、、、😢

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

やっちゃいました、、、

今日、お稽古の合間に、ちょっと楽器などの配置を直していました。
譜面台を動かしていたら、足がスポッと抜けて、下に落下、、、

不幸にも、そこにはツヤ布巾(布)がかかったお三味線の胴が!!

恐る恐るツヤ布巾を外してみると、お三味線自体は無事。
しかーし、よく見ると、駒に傷が!!


2020-12-07 16.13.30

この写真の様に、斜めのヒビと縦のヒビが入ってしまいました。
内部のヒビの様なので表からは触ってもわからないのですが、
裏面を触ると、ヒビが交差する所でヒビの感触を肌に感じます。


2020-12-07 16.13.52

楽器屋さんに写真を送って聞いてみると、
・水牛は繊維質なので修理できない。
・とりあえず瞬間接着剤を流す方法はあるが、余分な所は剥離剤で剥がすと良い。
・ただし、剥離剤は手に入りにくい。
との回答が、、、

この駒、私の普段使いの駒で、けっこう気に入っているんです。
駒は、中に入っている金属が、鉛→銀→金の順番で高価になります。
この駒は鉛なのですが、下手な銀の駒よりも音が良いんです、、、


「後悔先に立たず」とは行くけれど、楽器を扱う時には注意をしているつもりですが、ちょっとした気の緩みで、お三味線の上空に譜面台を通してしまった私が悪いんです。

駒だけで済んだと思って、これからは、もっと楽器の扱いに気をつけます。。。




 
1 7月

お三味線のアクシデントが頻発!

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

今日は、普段使いのお三味線に、いくつかアクシデントが!!

1:糸が切れた

お三味線の糸は三本あり、太くて低い音が出る方から、一・二・三と名前がついています。
一番細い三の糸は、はっきり言って消耗品です。
でも、一と二は、なかなか切れません。
私は、定期的に替えたり、本番前に替えたりしています。

今日は、まず三の糸が切れたのですが、その後にめったに切れない二の糸が切れました!!
20年以上お三味線を弾いていますが、二の糸が切れたのは、あまり記憶にありません。
まあ、駒に近いところが切れたので、糸巻に巻いてある部分を少し伸ばして再利用して節約。


2:駒の鉛が外れた!

私共「地歌」の三味線で使う駒は、裏面に鉛などの金属が入っています。
鉛の他には、銀と金を使っている駒があり、鉛よりも高価です。
その鉛が、いつの間にか外れていたんです!

普通は、弾いた時に音がちょっとおかしくなり、「あれ??」と思って駒を見ると、鉛が浮いているということがあります。
でも、今回は、前触れもなく突然外れました。
とりあえず応急処置をしましたが、今度楽器屋さんに調整してもらいます。

これが、駒を表から見たところ。

2020-07-01 18.58.41

裏返すと、こんな感じ。
黒い丸が二つありますが、それが鉛です。

2020-07-01 18.58.09

 
3:サワリ

三味線の一の糸は、棹が少し盛り上がっている所に触れていて、それにより弾いた時にビーンという様な音が混ざります。これを「サワリ」と呼んでいます。

普段使いのお三味線が、最近サワリがつきすぎていたので、糸の下に小さくちぎった半紙を入れて応急的に調整していました。

ところが、今日は半紙を外したくらいがちょうど良い、、、

天気の具合なのかなあ?

本当にお三味線は、繊細な楽器です。

こんなことが一日で起きた、珍しい日となりました。
25 11月

お三味線と駒

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家鈴木創です。

昨日24日は、「温故和楽会」が無事に終了いたしました。
私は、親師匠社中の一員として、「遠砧」のお三味線を演奏いたしました。

お稽古場で楽器の準備をしていた時ですが、改めて楽器の奥深さに驚いたことがありました。

私は、自分用のお三味線が二挺あります。
それらを仮に、「イ」「ロ」としましょう。

普段「イ」を使っているのですが、今回も「イ」を演奏に使おうと思い、そして替え三味線用に「ロ」を準備していました。
(「替え三味線」とは、演奏中に絃が切れたときなどのために準備しておく、予備のお三味線のことです。)

そして、「ロ」に新しい糸をかけて、駒を入れ、弾いてみたところ、すごくいい音がしたんです。

「え!!」と驚き、試しに他の駒に変えてみました。
そうしたら、普通の音になってしまいました。 

駒も自分用には二つあるのですが、仮に「A」「B」としてみます。

ロのお三味線に、Aの駒をかけたらいい音がして、Bは普通の音でした。
そして、試しにイのお三味線でも駒の比較をしたら、Bが落ち着いた音がして、Aは少し華やかな音になりました。

ですので、今回は当初の予定と異なり、
ロのお三味線にAの駒をかけたのを本番で使い、
イのお三味線にBの駒をかけたものを替え三味線としました。

しばらく使っていなかったロのお三味線ですが、ハの角度も私に合っているような気がしています。 

うーん、使っていなかったお三味線がいいおとがして、また駒によっても音も変わる、、、

奥が深いです。 
23 2月

お三味線シリーズ。駒と上駒とサワリについて。

みなさんこんにちは。
はじめちゃんこと、群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

引き続きお三味線のお話しをさせていただきます。 

まずはこの写真をご覧になって下さい。
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この部分は、お三味線の 一番上ですね。

一番上のカーブしている所は「天神」、糸を巻いている白い三本の棒は「糸巻き」
そして、天神の下の四角く穴が開いている部分は「糸倉」と呼びます。 
ちなみにこの糸巻きは象牙製で、他に黒檀でできている黒い糸巻きもあります。

下は、糸倉の下の部分を拡大した写真です。
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金属のプレート状の様なものがあります。
これは、「上駒(かみごま)」といいます。
お三味線の下の方で使う「駒」と合わせて、糸を浮かせ、支えます。

で、注目していただきたいのが、上駒は糸を2本しか支えておらず、左の「一」の糸は上駒の上に乗せません。

そして、実はこの一の糸が通っているところには、少し溝が掘ってあり、二の糸や三の糸に較べて、若干低くなっています。

では、この写真の左から見た状況が次の写真です。

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一番手前が「一」の糸なのですが、奥に見える「二」の糸に較べて棹に近いことがおわかりいただけるでしょうか。
そして、上駒のすぐ下に、若干山折りの様になっているのが見えますでしょうか?

一の糸だけが上駒にのらずに、代わりに溝を通り、そしてその結果として山折りのところに微妙に触れています。
それによって、一の糸だけは、開放弦で弾いたときに、糸の音以外に棹に触れている「ビーン」とした音が出るんですね。
この音を、「サワリ」と呼びます。

ですので、さっきの溝を「サワリ溝」と呼び、山折りの部分を「サワリ山」と呼んでいます。

では、次に下の方の駒をご覧下さい。

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この黒い部品が「駒」といいます。 
お三味線の音にとても重要な音を果たしています。

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「糸道」と呼んでいる、糸を通す溝があいています。

地歌の駒は、鼈甲や水牛でできていて、内部に金属が埋め込まれています。
この写真のものは、水牛の角です。

次に、駒だけの写真をご覧になっていただきます。
これは鼈甲です。

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素材の他に高さも数種類あり、皮の状況やその日の天候等により、駒を変えます。

駒の裏をご覧になっていただきます。
2カ所の丸が、埋め込まれている金属で、これは銀です。
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この写真ではわかりずらいのですが、駒の裏側は周囲だけが皮に接するようになっていて、そのほかの内側は抉れていて、皮に接しません。
その接している部分が細いほど、良いと言われています。

下の写真の駒は、鉛が埋め込まれています。
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やはり、ランクとしては鉛→銀→金の順番に上がります。
たまに、この金属がちょっと浮いたりすると、音が濁ってきます。

今日のブログで紹介させていただいた、上駒と駒は、お三味線の糸に直接接しており、そしてその間で演奏するので、特に駒は音にとても重要な働きをします。
ですので、私共は、駒にはけっこうこだわります。

そして、左手でツボを押さえる爪や指先も大切ですね。

さてさて、次回は地歌三味線の撥や、素材の現状についてお話しをさせていただく予定です。

ですが、明日から用事があり一泊二日で神奈川に行くので、更新が数日お休みさせていただく可能性があります。ちょっとお待ち下さい。
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