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箏曲家 鈴木創 公式ブログ「ことはじめ」

群馬県前橋市を拠点に活動する箏曲家鈴木創の公式ブログ「ことはじめ」です。

2024年01月

31 1月

どうする邦楽

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

私どもの業界誌「邦楽ジャーナル」が、最近の2号を使い、「どうする邦楽」という特集記事を組みました。これは、邦楽界の中心にいらっしゃるみなさんへのアンケートを公表したもので、回答者別の掲載となっております。

読んでみると、共通する部分もあるし、「現状と原因」「対策」に分類できます。ですので、私なりにまとめてみました。私がモヤっと感じていたものが言語化されている部分もあります。長くなりますが、ここに掲載します。


1.邦楽をとりまく現状

 

日本社会の西洋化

・西洋音楽に親しんでおり、耳慣れた音楽と邦楽の乖離があり、特に古典を長時間聴くのは大変。

・学校教育が西洋音楽にシフトしたことにより、子供達が子供の頃から慣れ親しむのは西洋音楽であり、学校の先生も西洋音楽の専門家がほとんど。また、音楽大学も西洋音楽の分野がほとんどを占めている。

・西洋音楽と邦楽との間に扱いの差がある。

 

生活環境や状況の変化

・大人は仕事・子育て・介護等で日常生活が忙しく、子供も学校・塾・受験など、どの世代も様々なことに時間とお金がかかるようになっている現代生活の中で、時間・お金・労力をどのように配分するかが大きな問題となっている。

・趣味・音楽・楽器などの選択肢も多様化し、様々な情報が以前よりも簡単に手に入る様になっている。

・その中で、一つのことにじっくりと取り組み、習得するということや、お金がかかることが敬遠さてきている。

・さらに、手軽にできるワークショップやレッスンも増え、容易に情報も入ることから、そういった分野に流れる人が増えている。

・集合住宅に住んでいる家庭も多く、大きな楽器を保管したり、近隣への音漏れを気にして練習ができない住環境が増えたりしている。一戸建て住宅でも面積や部屋に余裕がなく、和室がない家がほとんど。

・都市部では車がない家庭もあり、その場合は楽器の運搬にも支障が出る。

 

指導者や業界

・新たな人材がなかなか増えないので、高齢化・人口減少が進んでいる。したがって新しい発想を持つ人がなかなか出てこなく、出たとしても従来のしきたりなどに縛られて新しいアイデアが発揮されない環境にある。

・また、長く環境が整っている指導者は、新たな勉強への意欲や若い人の育成への熱意が不十分で、お客様を感動させる演奏や、自分の技術の向上への探究心が減少している。

・そういったことから、地方の三曲関係の団体の演奏会は、仲間内のものだけとなってしまい、つまらないという印象を持たれてしまう。

 

楽曲

・他の音楽にくらべて魅力がなく、強く惹かれる様な曲が少ない。

・楽器本来の音や特性を活かしたメロディのある曲が巷に流れてこなかった

 

楽器

・楽器をどこで買えば良いのか、またどこでメンテナンスをしたら良いのからない。

・楽器が持ち運びにくい。

・ブランドの様なものがなく、どういった楽器が良いものなのかわからない。

・楽器の値段が不明瞭。

・形だけの楽器があり、特に学校現場などで多い。

 

イメージ

・そういったことが重なり、和楽器やその音楽に触れる機会がめったになく、あったとしても楽しいという印象を持っていただくことがない。

・なので、「つまらない」「古臭い」「面白くない」などの印象を持たれたり、敷居が高く小難しい業界と思われたりしてしまう。また、和楽器を演奏することが、憧れや目標とならない。

 

 

2.必要なこと


演奏家として

・邦楽が現代社会のクリエイティビティの中で存在意義を持つことを目指す。

・邦楽は楽しいという感覚で、愛好家を増やそうという気持ちや行動をもつ。

・大前提として、演奏能力を絶えず向上させ、新しい勉強をすること。そして次に、柔軟な発想で現代人にも受け入れられる曲や演奏を提供する。

・お客様と同じ地平に立ち、企画力や発信力を向上させ、聞いて楽しく面白く、聴く人たちを楽しませるプログラムで演奏。

・流派に拘らない多様な音楽を良い演奏で提供

・自分のため、隣人のため、遠くに行ってしまった知人のための音楽を奏でる。

・邦楽は楽しいと思ってもらえる様に、演出・新しい作品・発信にチャレンジする。

 

指導者として

・意識改革を行い、幅広く広い視野を持った柔軟な発想で、お箏を通じて音楽の楽しさを伝える。

・好きなメロディを演奏したいという動機を満たし、自由にやりたい音楽を演奏できるようにする。

・アンサンブルの楽しさを伝える。

・楽しんで一生続けていける指導法を追求する。

・指導者の柔軟な考え方で、師弟関係のあり方を考え、ブラックボックスのない教室・料金体系を作る。

・会員の目標になるイベントづくりを行う。

・娯楽化を受け入れる。

 

楽曲

・現代の音楽シーンに融合し、同時代性の共感変えられ、現代人にも受け入れられる曲や演奏。

・新しいタイプの色彩感やリズムの強いわかりやすい音楽。

・他分野からも、演奏参加や作品提供してみたいと思われる音楽。

・宮城道雄先生が新しい邦楽の世界を切り拓いた様に、新しい現代の音楽を構築する。

 

業界・環境

・柔軟性をもった発想で、従来の立派などにこだわり過ぎず、縛りや規則を押し付けない。

・興味をもった人が学びやすい環境にアプローチできるように、しがらみのない勉強の場をたくさん作る。

・アマチュアの力の活用できるように、部活等で演奏していた学生たちが卒業しても続けられる受け皿を作ったり、合奏団活動を全国的な規模で充実させたりする。

・助成金や支援・保護政策を働きかける。

・流派を超えた掘り起こしを行い、若い奏者を育てる。

 

発信

・多くの人が、邦楽に見る・触れる機会を増やす。

・ホール・自治体・企業など他分野との連携や、企画を持ち込み、とにかく聞いて触れてもらい、一般の人たちが邦楽を耳にする頻度を上げる。

・邦楽を新しい形で体験できる機会を提供したり、触れたことがない人向けの企画などを行ったりする。

・効果的なマーケティングと宣伝活動。

・多様な音楽ジャンルや文化とのつながりを強調したり、和のものを組み合わせての企画を行ったりと、他分野との連携企画を行う。

・スター演奏家やヒーローを育て、憧れ・目標になる様な存在とし、夢のあるメッセージ性のある強いアピールを行う。

・インフルエンサーを活用したり、若い演奏家をインフルエンサーに育てたりする。

・一人一人が発信力を向上させ、和楽器の楽しさを発信する。

・海外に発信し、日本に逆輸入

・邦楽コンサートの英語版の情報サイトを作る。

 

学校教育

・学校教育で時間を増やしてもらい、邦楽教育を充実してもらう。

・音楽の先生に和楽器を好きになってもらう。

・学校にも企画を持ち込み、最初にとにかく聞いて触れてもらう。

・体験と鑑賞のセット公演を行う。

 

29 1月

香道ですっきり

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

昨日1月28日、白井屋ホテル内の和室で行われたお香の会に参加してきました。
1月ということで、新年をお祝いする「慶賀香」という名前です。

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まず最初に、松竹鶴亀と名前がついた4つのお香を聞き、その後5つのお香を聞いてそれぞれが松竹鶴亀と、もう一つ追加されたウ(蓬莱)のどれかを当てます。5つの中には、松竹鶴亀のどれかが複数入っている可能性もあります。

うーん、これはとっても難しいですね。お香の見た目も大きなヒントになりますが、香りの違いがわかるようでわからない、、、

でも「蓬莱」だけは香りが他よりもはっきりと立っていて、よくわかりました。

で、なんと、一緒に行ったてつこさんが全部正解!

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お香が終わった後は、お軸などの説明を聞き、そしてお菓子にお抹茶の時間となりました。

白井屋ホテルの和室は、ちょっと世の中から隔絶された空間なんですね。
その中で集中してお香を聞き、その後お茶で会話をしていると、自然とみなさんとの距離が近くなります。

そして、お香を9回も聞くと、体の中がなんかすっきりした感じになりますね。

やっぱり和文化の時間っていいな、と思いました。

終わった後は、ビールやワイン!


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28 1月

中村ひろみさんのリーディング公演を見てきました

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

昨日1月27日、前橋文学館で開催されたリーディング公演「旅するアラブ 
母と娘の物語『ハイル・ターイハ』」に行ってきました。

出演・演出の中村ひろみさんからのご案内をいただいてです。

この物語、原作は一人での語りでできております。しかし、それを日本国内では演劇など様々な構成で演出をされているそうです。今回は役者さん2名による朗読劇と、音楽によって構成され、そこに映像や鳥の囀る声などが効果的に使われておりました。ですので、セットなどはなく、大きな幕を下げるだけのシンプルな舞台です。

リーディング公演は、役者さんの大きな演技はありません。立ったり座ったり、場所を変えたり目を合わせたり、そういう動きはありますが、手に台本を持ちながら文章を読んでいくことがメインです。

でも、それが自分の頭の中の想像力を大きく掻き立ててくれます。舞台であるシリアや、登場人物の家。学校などの様子が、実際のドラマや舞台を見る以上に、頭の中に見えてくるんですね。

そして、サズやウードという中東の楽器の演奏やクルド語の歌が生演奏で挟まれ、雰囲気を盛り上げてくれます。

終了後は萩原朔美さんを交えてのアフタートークで、見事に我々が漠然と感じていることを言語化してくれたり、演出の背景にある考え方などがお話しされ、理解が深まりました。

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25 1月

高崎市の小学校で授業

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

今日1月25日、高崎市の小学校でお箏の授業を行ってきました。

対象は4年生の2クラスです。授業時間は1クラス2時間で、最初の1時間がお話と演奏、そして2時間目が演奏体験です。

お子さんたちの表情を見ると、初めて見る楽器に興味津々!そして、演奏を始める前に「手元が見えない人は、立ったり前に来たりしていいよ」というと、かなりのお子さんたちが前にきました。そして、体験の時もとっても楽しそうにお箏を弾いており、終わった後は「難しいけど楽しかった」という感想を言ってくれました。

私自身も学校の授業の経験を重ねることにより、内容を見直したり、パワーポイントのスライドを修正したり、弾くときの説明方法を考えたりと、内容が徐々に良くなっていることを実感しております。

そして、お子さんたちの記憶の引き出しの中に、お箏のことが残ってくれるといいなあと思います。

高崎市の学校は自校給食です。今日は校長室で校長先生・担当の音楽の先生と一緒に、給食をいただきました。

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22 1月

前橋テルサホール再開にむけて③

こんにちは。はじめちゃんこと、群馬県前橋市の箏曲家、鈴木創です。

前橋テルサのホール部分の再開に向けて、今日は2回目の会議が行われました。それに伴い、私もやるべき作業なども増えてきていますが、徐々に再開イメージが固まってきました。お知らせできるタイミングになったら、皆様にも発表させていただきます。

今回は、あの場所にホールがある意味をお話ししようと思います。

まず、「前橋テルサ」が通常運営していたころは、とても便利な施設でした。
コンサートを行い、中のレストランで打ち上げ。また、パーティーを中のレストランやパーティー会場などで開催。2次会はまちなかのお店に出て、遠くから来たゲストなどはホテルに宿泊。といった様に、テルサの中である程度のことが完結できるんですね。また、まちなかに近いので、食事・2次会に徒歩ですぐに出ることができます。

では、ホールがあそこにある意味ですが、やはり「人が集まる」ということです。以前のホールの稼働率は約50%とのことでした。仮に300人のお客様が来場するとして、年間150日くらい、300名があそこに来ます。そうすると、年間45,000人の人がテルサに来ている計算になります。そのほか、フィットネスやレストラン・パーティー・カルチャースクールなどもあったので、なかなかの集客力があります。

その人たちの半分でも、まちなかに流れてくれれば、22,500名の人が街中にお金を落としてくれます。平均2,000円とすると、4千5百万円になります。こういった経済効果があります。

また、著名な演奏家が来たり、講演会などを行えば、まちなかの文化的な価値が上がります。

さらに、最近は広瀬川や馬場川の整備が進み、白井屋ホテルやガレリア・アーツ前橋などの注目スポットも増えてきており、まちなかの点が増え、人の流れが線になってくるんですね。


そういった様に、ホールがオープンすることで、人が集まる経済効果・まちなかの文化価値向上・話題のスポットの人の流れが線でつながる、そういったメリットが出てきます。

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