みなさんこんにちは。群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

先日8月3日、グリーンドーム前橋で開催された、「前橋ビジョン発表会」に行ってきました。 

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「前橋ビジョン」とは何かというと、民間の視点から前橋の50年後100年後の目指す姿を、ドイツの「KMS TEAM」というコンサルタント会社の手を借りて策定しよう、というものです。
メガネのJINSの創業者田中仁さん(前橋市出身)の提案で、前橋市と連携のプロジェクトとして動いています。
2月に中間発表が行われましたが、その時の内容は英語でした。「Where good things grow」という言葉が策定され、私は「良きものが育つ街」と解釈しておりましたが、 今回は前橋市出身の糸井重里さんが日本語に咀嚼して、発表して下さいました。

そして、「めぶく」との言葉に決定しました。 

発表会の内容や詳細は、いろいろな方が紹介しているので、私はあまりそこを詳しく述べません。私の感想を中心にして行きます。

私のお稽古場は、前橋市千代田町、すなわち前橋市の中心市街地にあります。
なぜそういう場にお稽古場を設けたかという理由は二つあります。
一つは、子供の頃からの遊び場・買い物や食事に行ったりする場であった前橋の街中が、いつの間にか寂しい地域になってしまい、その活性会に少しでも力になりたい。
もう一つは、道行く人の耳に邦楽の音が自然と入り、少しでもお箏やお三味線のことをいろいろな人に身近に感じてほしい。
すなわち、「前橋の活性化」「邦楽をもっと身近に」この二つの想いを実現するためなのです。

したがって、ビジョン発表会に対しては、「自分の思いや活動にどうやってリンクできるか」という視点を持って臨みました。

まず、「めぶく」という言葉には、単純に「わかりやすいな」と思いました。
「良きものが育つ街」というエッセンスを、平仮名3文字で誰にでもイメージしやすく表現できていると思います。

次に、ビジョンに基づく様々なプロジェクトが発表されました。飲食やお菓子などは、既存の前橋のお店の方もやっていること。東京の方を連れてくるよりも、むしろ、既存の頑張っている方の取り組みを「めぶく」方に導いていく方が良いのでは?と感じました。「前橋にはこれといったお土産がない」などの発言がありましたが、幸煎餅の七福神あられもあります。前橋の豚を使ったトンカツは、広瀬川を眺めながらカツ丼を食べられるお店もあります。

「太陽の会」「風の会」の紹介では、それぞれの取り組みが紹介されましたが、その2つの関係性がわかりませんでした。「太陽の会」は会員企業の純利益の1%か100万円を寄付するという、すばらしい取り組み。民間企業が、前橋のために率先して継続的に毎年お金を出そうというのは、初めての取り組みではないでしょうか。「風の会」は人的支援かな??また、寄付をどこにして、どういった人がそのお金を使えるのか、まだ不明確です。その仕組みが、これから具体化していくことを期待します。

田中仁さん、糸井重里さん、山本龍市長のトークセッションは、面白かったです。田中さんは事業者としての視点、糸井さんは文化人として物事を一歩引いて俯瞰的に見て、時には視点を逆にしてみるような立場、市長はけっこうぶっちゃけ本音。それぞれの立場や経歴の違いを垣間見た気がします。本当に事前打ち合わせもなかったらしく、進行役の奈良のりえさんも大変だったのでは!?

ただ不思議なことは、未だにインターネット上に「前橋ビジョン」の公式サイトの様なものが見つからないのです。グリーンドームでは、紙を配布していましたが、やはりサイトで公表した方が、多くの方の目に触れ、私たちも思いついた時にアクセスすることができます。

最後に、このビジョンをきっかけとした今後に期待すること。
それは、前橋の人たちの意識が変わってほしいということです。
私は、高崎や桐生などでも仕事をさせていただき、それらの地域の人たちと交流させていただいております。
それらの場所は、誰かがなにかをやりたくて手を挙げると、
「じゃあ、あの人を紹介するよ」
「俺はこれが協力できるよ」
など、周りの人や地域の人が協力してくれるんです。

しかし、前橋は、「私はこれがやりたい!」という人がいると、
周りは「傍観して評論家的にマイナス意見を言う」。
残念ながらそんな感じを受けるのです。

このビジョンにより、「それがめぶくの?」「めぶきにつながるの?」
という問いかけが行われ、前橋の人たちが、良いと思う方向にベクトルがあい、力をあわせる。そんな意識が「めぶく」ことを期待します。