みなさんこんにちは。群馬県前橋市の 箏曲家 鈴木創 です。

今年のお正月のご挨拶の中で、

「邦楽の源流をしっかり固めるべく、
江戸時代に作曲された古典の勉強や発信に、
力を入れて行きます。」 

と、表明いたしました。

その具現化が、「地歌箏曲を愉しむ〜古典文学を巡る〜」の公演でした。
6月から4カ所5公演を行い、
昨日9月23日、桐生市のPLUS+アンカーさんでの公演で、千秋楽となりました。

どの会場でも、「地歌とは?」「当道座とは?」そういったことから、曲の歌詞の意味までを解説させていただき、お客様に古典の地歌曲を味わっていただくよう、工夫したつもりでおります。

演奏曲目は、「吾妻獅子」「磯千鳥」「七小町」の三曲を、
尺八の牧原笳童さんとお送りしました。

どの曲も、演奏会のトリを飾るような大曲です。
それを、暗譜で演奏いたしました。
二人ですから、ごまかしが効きません。
以前暗譜がしてあった曲は「吾妻獅子」のみ。
それ以外の2曲は、暗譜をゼロからしました。
練習や暗譜。何度も気が遠くなりました。
正直なところ、つらい日々がありました。
下合わせも何度も行い、そのたびに、暗譜の違いやテンポの取り直しなどを修正しました。

お箏は爪音や手の動かし方、三絃は右手の置き方や撥の動かし方や左手の角度や力のいれ具合、歌は体の使い方や発声など、気が付いたところを直していきました。
実を言うと、この企画の準備に入ってから、昨日まで、緊張のしっぱなしでした。

そして迎えた千秋楽。
PLUS+アンカーさんの公演は、「昼の部」と「夜の部」の1日2公演なのですが、
夜の部の最後、「七小町」の演奏が終わる時、思わずこみ上げるものがあり、
歌の「内ぞゆかしき」の「しー」と伸びるところで、出てくる涙をこらえるのが、ちょっと大変でした。

終演後、とても充実感に包まれました。

大変な日々でしたが、発見したことや気づいたことがたくさんあります。
それらのことを身に付けていき、精進し続け、自分の芸の向上に努めます。
ですので、その大変な日々を過ごしたからこその発見という、成果があったと感じております。

お彼岸を迎え、秋の風情も高まってきました。
昨日の「夜の部」の公演では、庭の虫の声も屋内に聞こえ、演奏が終わると鳴き声が響くという、素晴らしい環境となりました。
江戸時代、機械やアラームの音がなかったころは、そんな音の世界の中で、お箏や三絃の音を楽しんでいたのではないか、そんな環境が図らずも再現されました。

また、同じPLUS+アンカーさんで3月に行った公演をきっかけに付き合い始めたカップルが、最近婚約されたとのことで、サプライズのお祝いも行いました。

「地歌箏曲を愉しむ〜古典文学を巡る〜」ひとまずの千秋楽です。
ご来場下さったお客様、ご協力して下さった皆様方、本当にありがとうございます。

次のやりたいことも、漠然とですが、頭の中にあります。
地歌や古典曲中心ですが、来年の活動に盛り込んで行く予定です。
ご期待下さい。


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「お座敷芸」としての地歌を生の音で聴いていただくのに、ちょうど良い広さ。
特設ステージが設けられました。

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実は、特設ステージはこんな構造です。

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「夜の部」では、歌詞を後ろの壁に映して見ました。
ちょっと暗い屋内が、プロジェクターにちょうど良い感じです。
今のプロジェクターは、小さくてファンの音もしないんですね。

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お箏と尺八はこんな感じ。